自賠責保険

自賠責保険とは自賠責保険とは

自賠責保険(共済)とは、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき、交通事故による被害者を救済するために、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられてる強制保険です。
人身事故で加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としています。

自賠責保険の概要自賠責保険の概要

自賠責保険(共済)の特色

  1. 自動車の運行によって他人を死傷させた場合の人身事故による生命や身体の損害について支払われる保険(共済)であり、自分自身の死傷や物的損害は補償対象になりません。
  2. 支払限度額は、被害者1名ごとに定められています。 1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、一人あたりの支払限度額は同じです。 (逆に複数の加害自動車(共同不法行為)の場合は、支払限度額×加害自動車数が支払限度額となります。)
  3. 被害者は、加害者の加入している損害保険会社等に直接、保険金(共済金)を請求することができます。
  4. 当座の出費(治療費等)にあてるため、被害者に対する仮渡金制度があります。
  5. 交通事故発生において、被害者に重大な過失がある場合には、自賠責保険金が支払われなかったり、減額されることがあります。
  6. 損害を受けた人(被害者)全てが対象となりますので、相手(加害者)に僅かでも過失があり加害者側から賠償が受けられない場合は、被害者請求を行うことができます。
※ 自賠責保険(共済)金が支払われないケース

被害者の引き起こした事故(例:センターラインオーバーによる事故、赤信号無視による事故、追突事故など)は、 相手車両の自賠責保険(共済)金の支払いの対象にならない場合があります。


自賠責保険の支払限度額

  損害の範囲 支払い限度額(被害者1名あたり) 内   容
死 亡 葬儀費
逸失利益
被害者・遺族の慰謝料等
3,000万円 支払い限度額の範囲内
死亡に至るまでの傷害 治療費
休業損害
慰謝料等
120万円 支払い限度額の範囲内
傷 害
後遺障害 逸失利益
慰謝料等
神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残し介護を要する後遺障害
常時介護を要する:4,000万円
随時介護を要する:3,000万円
身体に残った障害の程度に応じた等級に応じ、支払い限度額の範囲内で支払
上記以外の後遺障害
1級:3000万円~14級:75万円

※ 支払い基準は下記の「傷害の支払い基準」を参考にしてください。


傷害の支払い基準(令和2年4月1日以降の事故)

支払の対象となる損害 支払基準




治療費 診察料や手術料、または投薬料や処置料、入院料等の費用など。 治療に要した、必要かつ妥当な実費が支払われます。
看護料 原則として12歳以下の子供に近親者等の付き添いや、医師が看護の必要性を認めた場合の、入院中の看護料や自宅看護料・通院看護料。 入院1日4,200円、自宅看護か通院1日2,100円。これ以上の収入減の立証で近親者19,000円、それ以外は地域の家政婦料金を限度に実額が支払われます。
諸雑費 入院中に要した雑費。 原則として1日1,100円が支払われます。
通院交通費 通院に要した交通費。 通院に要した、必要かつ妥当な実費が支払われます。
義肢等の費用 義肢や義眼、眼鏡、補聴器、松葉杖などの費用。 必要かつ妥当な実費が支払われ、眼鏡の費用は50,000円が限度。
診断書等の費用 診断書や診療報酬明細書などの発行手数料。 発行に要した、必要かつ妥当な実費が支払われます。
文書料 交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料。 発行に要した、必要かつ妥当な実費が支払われます。
休業損害 事故の傷害で発生した収入の減少(有給休暇の使用、家事従事者を含む)。 原則として1日6,100円。これ以上の収入減の立証で19,000円を限度として、その実額が支払われます。
慰謝料 交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する補償。 1日4,300円が支払われ、対象日数は被害者の傷害の状態、実治療日数などを勘案して治療期間内で決められます。

自賠責保険に加入していないと・・・自賠責保険に加入していないと・・・

不携帯・未加入の処罰

自賠責保険証明書を携帯していないと、それだけで30万円以下の罰金が科せられます。 また、未加入の場合は無保険運行として1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、さらに道路交通法違反の点数が6点加算され、ただちに免許停止処分となります。
通常、車検が必要な自動車やバイクは車検毎に更新を行いますが、車検を必要としない250cc以下のバイクや原付バイクは、期限切れに気づかない場合がありますので、有効期限には十分ご注意ください。


ひき逃げ・自賠責未加入車両への対応

盗難車、自賠責未加入による無保険車による事故など、自動車の所有者や加害者から賠償を受けられない場合やひき逃げ事故の場合は、「政府保障事業(自動車損害賠償保障事業)」と呼ばれる国の制度で被害者を救済します。 救済の内容は自賠責とほぼ同内容ですが、支払いまでに時間がかかります。
尚、「政府保障事業」で支払われた賠償金は、政府が立て替えているに過ぎませんので、最終的には加害者など損害賠償責任者に請求されることとなります。

自賠責保険と任意保険自賠責保険と任意保険

任意保険の必要性

上記に紹介したように、自賠責保険は被害者を救済するための保険ですが、必ずしも全てを補償できるとは限りません。 例えば死亡した被害者が子供や高収入の就労者である場合、長期間の治療を必要とする傷害を負った場合、補償の限度額を超えてしまうことは決して珍しくありません。
また、あくまで対人にかかる保険ですので、車やガードレールなどの器物損壊には適用されません。 さらに、自身が怪我をしても、相手に落ち度がない場合は保険の対象外となってしまいます。
自賠責保険の性質をよく理解した上で、足りない部分をカバーする任意保険の加入の検討をおすすめします。

参考文献: 国土交通省自動車交通局 交通事故被害者救済対策


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